現在、てんかん診断や治療のために受診された患者様にアンケートをお願いしております。ご協力いただき心より感謝申し上げます。今後、皆様より頂きましたご質問に対し可能な範囲で回答させていただきたいと考えております。どうか宜しくお願いいたします。
Question 2
妊娠への抗てんかん薬の影響が心配です。
<Answer>
抗てんかん薬を飲んでいない方でも3%程度は奇形を生じる確率がありますが、一般的に抗てんかん薬は、赤ちゃんの奇形が発生する確率を少し高める可能性があることが知られています。
(多くは口唇・口蓋裂※1、心奇形。特定の抗てんかん薬で二分脊椎※2が多い。)
※1.口唇・口蓋裂
唇や上あごは、左右の突起が中央部分でくっつくことでつくられるが、何らかの理由によりうまく癒合していない状態となること。
※2.二分脊椎
脊髄が脊椎(背骨)で覆われない状態になってしまうこと。
さらに、
・特に奇形の発生率が高い抗てんかん薬がある
・複数種類の抗てんかん薬を飲んでいるとさらに奇形を生じる確率が増加する
・同じ薬でも服用量によって奇形の発生率が異なる場合がある
・多くの抗てんかん薬は葉酸濃度を下げると知られており、母体の葉酸濃度が低いと奇形が発生する確率が増加する可能性がある
などのことが分かっています。
一方で減薬により妊娠中にてんかん発作が増えることは、患者さん本人の心身への負担が大きいことはもちろんですが、強直間代発作が生じると、場合によっては流産・早産のリスクとなるおそれもあります。
参考文献
てんかんを持つ妊娠可能年齢の女性に対する治療ガイドライン(日本てんかん学会)
てんかん専門医ガイドブック(日本てんかん学会 診断と治療社)
てんかん学ハンドブック第4版(兼本浩祐 医学書院)
てんかんの相談は当院へ
これらのことを踏まえ、それぞれの方の発作型や頻度などの状態に応じて、薬の種類を変更したり、量を調整したりします。色々な事柄について検討した上で、特に変更はなく続けることになる方もいらっしゃいます。いずれにしても妊娠の前に主治医とよく相談しておくことが大切です。
衣ヶ原病院では、てんかん専門外来(予約制)を設けております。詳細な病歴聴取を行った上での治療を心がけております。脳波検査とCT検査も院内で行うことができます。
不安な点がございましたらまずはお気軽にご相談ください。